名古屋地方裁判所 昭和60年(わ)227号 判決 1985年8月30日
本店の所在地
名古屋市中川区東中島町四丁目二番地
法人の名称
東明観光株式会社
代表者の住所
名古屋市中川区広住町六番一一号
代表者の氏名
金村成幸
国籍
韓国(慶尚南道昌原郡鎮北面徳谷里一一六番地)
住居
名古屋市中川区広住町六番一一号
会社役員
金村春吉こと金鏞基
一九一七年一二月七日生
右両者に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官畠山光太郎出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人東明観光株式会社を罰金一二〇〇万円に、被告人金鏞基を懲役八月に各処する。
被告人金に対しこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用は全部被告人両名の連帯負担とする。
理由
(罰となるべき事実)
被告人東明観光株式会社(以下「被告会社」という。)は、名古屋市中川区東中島町四丁目二番地に本店を置き、パチンコ遊技場「パチンコ東明」を営むもの、被告人金村春吉こと金鏞基は、被告会社の取締役としてその業務全般を統轄するものであるが、被告人金は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を秘匿したうえ、
第一 昭和五六年四月一日から同五七年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億〇〇五三万九七八一円で、これに対する法人税額が四一一七万八三〇〇円であるのに、同五七年五月二七日、名古屋市中川区尾頭橋一丁目七番一九号所在の中川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五七二〇万八二一九円で、これに対する法人税額が二二九七万九三〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一八一九万九〇〇〇円を免れ
第二 同五七年四月一日から同五八年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億一六六四万七八二一円で、これに対する法人税額が四七九五万五二〇〇円であるのに、同五八年五月二四日、前示中川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六三二一万八二八三円で、これに対する法人税額が二五五一万五〇〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額二二四四万〇二〇〇円を免れ
もって、それぞれ不正の行為により法人税を免れたものである(判示第一及び第二の各事業年度における修正損益計算書、ほ脱所得の内容及び脱税額計算書は別紙一ないし六のとおりである。)。
(証拠の標目)
判示全部の事実について
一 被告人金の
1. 第三回公判調書中における供述記載部分
2. 大蔵事務官に対する質問てん末書一一通(検乙第一ないし第七、第九ないし第一二号証)
3. 検察官に対する供述調書(検乙第一三号証)
4. 上申書三通(検乙第一四ないし第一六号証)
一 被告会社代表者金村成幸こと金成圭の
1. 第三回公判調書中における供述記載部分
2. 大蔵事務官に対する質問てん末書七通(検甲第二三ないし第二九号証)
一 金井豊子こと金豊子の
1. 大蔵事務官に対する質問てん末書四通(検甲第三〇ないし第三三号証)
2. 検察官に対する供述調書(検甲第三四号証)
一 金村徳男こと金徳男、東文子こと金文子、西守環、金村幸子こと李幸子、西島純太(二通)、永野守の大蔵事務官に対する各質問てん末書(検甲第三五ないし第四一号証)
一 大蔵事務官作成の
1. 告発書
2. 脱税額計算書説明資料
3. 証明書二通(検甲第九及び第一一号証)
4. 査察官調査書九通(検甲第一二ないし第一四、第一七ないし第二二号証)
一 検察事務官作成の電話聴取書(検甲第一〇号証)
一 登記官春田武作成の登記簿謄本(検乙第一九号証)
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の
1. 脱税額計算書(検甲第二号証)
2. 証明書二通(検甲第五及び第六号証)
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の
1. 脱税額計算書(検甲第三号証)
2. 証明書二通(検甲第七及び第八号証)
3. 査察官調査書二通(検甲第一五及び第一六号証)
(法令の適用)
被告人金の判示第一及び第二の各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の重いと認められる判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において、被告人金を懲役八月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
被告会社について、法人税法一六四条一項、一五九条一項により判示第一及び第二の各罪につき罰金刑を科すべきところ、情状により同法一五九条二項を適用して各免れた法人税の額に相当する金額以下とするべく、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罰金の合算額以下において被告会社を罰金一二〇〇万円に処する。
訴訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により被告人両名の連帯負担とする。
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 鈴木雄八郎)